導入事例
ディップ株式会社
業種:情報通信業/人材サービス・DX事業・ウェブサービス
ネットワーク管理の効率化を目指してSD-WANを導入
トラフィックの負荷分散で快適な社内ネットワークを構築
導入効果
- SaaS利用時の回線速度のストレスが大幅に軽減
- 多種多様な回線に対応し強固な冗長構成を実現
- 全拠点のトラフィック状況も専用ポータルで一元管理が可能に
導入サービス
1997年3月設立のディップ株式会社は、日本最大級のアルバイト・パート求人掲載サイト「バイトル」を運営する人材サービス事業、人材不足や業務効率に課題を抱える業界・業種での定型業務を自動化する「コボット」シリーズを提供するDX事業を展開。「面接コボット」「HRコボット」「不動産コボット」「コボットPlatform」等のブランドを拡充し、20種類以上の豊富なサービスを導入しやすい価格帯で提供している。同社は、人材サービス事業に加え各種DXサービスを成長ドライバーとすることで、さらなる事業拡大を目指している。ディップでは社内ネットワークのトラフィック増大を背景に、2019年後半から拠点間ネットワークの刷新を計画。利用しているSaaSへのインターネットブレイクアウトと柔軟なネットワーク管理が可能なSD-WANの採用を決定した。その際に選定されたのが、TOKAIコミュニケーションズが提供する「BroadLine CVR(SD-WAN)サービス」だ。
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鎌田 昌樹 氏
ディップ株式会社
情報システム部 インフラ運用課 課長 -
佐々木 健夫 氏
ディップ株式会社
情報システム部 インフラ運用課 マネジャー -
本河 大輔 氏
株式会社シーエーシー
産業ソリューション部 第二グループ
セールスマネジャー -
野中 章弘 氏
株式会社シーエーシー
ビジネステクノロジー部
目次
トラフィック増加を背景にネットワークの刷新を計画
ディップ株式会社では、データセンター内のオンプレミス環境で稼働させている各種基幹システムに、本社を含む38拠点からアクセスしていた。ZoomやTeamsなどのSaaSを利用する際には、データセンターを経由してインターネットに接続する構成となっていたという。当時の状況について、ディップ 情報システム部 インフラ運用課 課長の鎌田昌樹氏は、次のように説明する。
「基幹システムとSaaS利用のトラフィックが全てデータセンターに集約される形態で、社内ネットワークの負荷が徐々に増大していました。時間帯によってはインターネットに接続するにも時間がかかる、つながっても遅いという状況が出始めており、 SaaSの利用にも影響がありました。そこで2019年後半から拠点間ネットワークの刷新について検討を開始しました」(鎌田氏)。
同じ頃、利用していたデータセンターが位置する地域のハザードマップが更新され、自然災害時の浸水リスクが明らかになったことでデータセンター内システムの移行も喫緊の課題となっていた。
「拠点間ネットワークの刷新は最優先で行わなければならない重要案件でしたが、既存のデータセンターでは利用できるネットワークサービスに制約がありました。システム移行と拠点間ネットワークの刷新を同時に実施できれば、接続回線の選択自由度も高まり、大きなコストメリットも得られることが分かりました。こうした理由から社内ネットワーク全体の刷新を行うことに決定しました」(鎌田氏)。
インターネットブレイクアウトと管理の効率化を実現したい
新しいネットワークサービスを選定するにあたり、同社は当初からSD-WANを有力な候補のひとつにしていたという。SD-WANは、ソフトウェアによってWAN全体を仮想ネットワーク化し、接続のポリシーやWAN内のトラフィック制御を専用の画面から一元管理できるサービスだ。
「2020年初頭からは、コロナ禍の影響によりオンラインでの商談も増えつつありました。こうした状況からもネットワーク利用環境の改善が急務でしたが、どのSD-WANサービスを選択するのがベストなのかまでは分かりませんでした。そこで以前よりITパートナーとしてサポートしていただいている株式会社シーエーシー(以下CAC)に協力を仰ぎました」(鎌田氏)。
CACに提示した要件として、ディップ 情報システム部 インフラ運用課 マネジャーの佐々木健夫氏は、次のような項目を挙げた。
「第一にインターネットブレイクアウトができること、第二にクラウドベースの管理画面上でネットワークの設定などが一括で行えることです。その結果、提案いただいたのが、TOKAIコミュニケーションズのBroadLine CVR(SD-WAN)サービスでした」(佐々木氏)。
インターネットブレイクアウトとは、各拠点から直接インターネットやSaaSにアクセスできるようにする仕組みであり、トラフィックが分散されるため快適なネットワークを構築できる。
専用ルータの活用でSD-WAN環境を迅速に構築
CVRサービスは、SD-WAN技術を利用してさまざまなルータ機能を利用者に提供するルータレンタルサービスで、各拠点の接続回線にTOKAIコミュニケーションズが提供するCVR装置を接続するだけで導入が可能だ。利用者は、機器の死活監視や障害発生時のアラート通知、オンサイト保守といった通常のルータレンタルサービスで提供されるメニューに加えて、専用ポータルサイトからトラフィックの確認やネットワークの設定変更ができる。CVRサービスをディップに提案した理由について、CAC 産業ソリューション部 第二グループ セールスマネジャーの本河大輔氏は、次のように説明する。
「当社はTOKAIコミュニケーションズのディストリビュータでもあり、以前から同社の通信サービスの優位性を十分に理解していました。ディップ様で新たな拠点間ネットワークの刷新が最重要のテーマとなる中、信頼できるTOKAIコミュニケーションズのCVRサービスであれば、安心かつ安全に、スピード感を持って進めていけると考えました」(本河氏)。
一方、CACから提案を受けたディップでも、社内の一部門がTOKAIコミュニケーションズのAWS接続サービスを利用していることを把握しており、安心できる通信キャリアという認識はあったという。
こうしてディップは、新たなデータセンターへのシステム移行も進めながら、2020年9月から各拠点へのCVR装置の設置を開始し、2021年2月に全38拠点への配備を完了した。うち16拠点には、TOKAIコミュニケーションズが提供する専用アクセス回線を使用したリレーションEthernetをSD-WANへの接続回線として新たに導入した。
「CVRサービスを導入したことで、各拠点から新データセンター内の基幹システムには専用アクセス回線経由で接続し、ZoomやTeamsなどのSaaSを利用する際には、CVR装置からインターネット回線を介して直接接続するという複数の経路を確立することができました。今回のネットワーク刷新において、CVRのインターネットブレイクアウトの機能を利用しつつ、通信先のセキュリティをより強化するためにゼロトラストとしてのZscalerを同時に採用しています。CVRはバックアップ回線への経路制御を自動的に行うため、万が一インターネット回線に障害が発生した場合には、専用アクセス回線を経由しTOKAIコミュニケーションズのネットワーク網からのインターネット接続や、データセンターに引き込んだインターネット回線を経由して、各SaaSへの接続が可能です。一方、専用アクセス回線に障害が発生した場合はインターネット回線がバックアップ回線となってデータセンター内の基幹システムへの通信を維持するため、回線の冗長化も実現できました。拠点間ネットワークを刷新しただけではなく、従来のネットワークにはなかった安心感を得ることができたと考えています」(佐々木氏)。
通信速度が大幅に改善 回線の一元管理も可能に
CVRサービスの利用開始から現時点で約5か月が経過しているが、鎌田氏は導入効果としてSaaS利用時のストレスが大幅に軽減された点を挙げる。
「コロナ禍以降、特に営業担当者はお客様との商談をWeb会議で行う機会が増えましたが、以前よりもWeb会議ツールの利用が快適になったという声が社内から多く出ています。音声が途切れることがなくなった、映像がフリーズすることがなくなったと聞いています。まさにCVR装置によってトラフィックを用途別に切り分けることができたからこその効果だと言えます」(鎌田氏)。
新データセンター内の基幹システムにアクセスする際の通信速度も現在では解消されているという。
「これまではファイルサーバから大容量のファイルをダウンロードする際にかなり時間がかかっていましたが、それも解決されました。最近、全社的にクラウドストレージに移行したのですが、インターネットブレイクアウトによりトラフィックが用途別に切り分けられたことで何の問題も起きていません」(鎌田氏)。
さらに佐々木氏は、ネットワーク管理の利便性も格段に向上したと強調する。
「SD-WANにしたことでネットワーク機器の設定を管理する必要がなくなり、全拠点のトラフィック状況も専用ポータルから一括して確認できるようになりました」(佐々木氏)。
今回CACでは、各拠点へのCVR装置の設置とLAN環境との接続作業を担当したが、CAC ビジネステクノロジー部の野中章弘氏は、TOKAIコミュニケーションズの柔軟な対応や技術的なサポートを高く評価している。
「技術的な質問やネットワークに関する問い合わせにも、必要に応じて調査を行い、迅速かつ的確に回答をいただきました。また、各拠点のCVR装置の手配も頻繁にスケジュール変更が発生しましたが、その都度柔軟に対応していただき本当に感謝しています」(野中氏)。
今後、SD-WANの活用が本格化し、利用するSaaSの種類が増えることで、BCPなども考慮したネットワーク品質の重要性がより高まることが想定される。
「CACやTOKAIコミュニケーションズには、我々の頼りになるITパートナーとしての役割をこれからも期待しています」(鎌田氏)。
- Google Workspace、Slack、boxはZscaler経由での接続となります。
ディップ株式会社
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